「線香やコーン型は煙が気になる。できれば煙が出ないお香があれば…。」
「目を離すと危ないし、できれば火を使いたくない」
「もっと本格的なお香の世界を楽しみたい」
そんな願いを全部叶える「空薫(そらだき)」というお香の焚き方をまとめました。
Contents
空薫(そらだき)とは
間接的に熱を加えて、香りを溶け出させる方法を空薫といいます。
空薫には2通りの方法があります。
一つは炭を燃やすことにより灰を温めて、灰を介して香木等に熱を加える方法。
一つは電気香炉という香炉を用いて、コンセントをつないで電気で香木に熱を加える方法。
前者の灰を通して熱を加える場合は用意するものが多く、調節もコツが必要であったり、少し上級者向けになります。
後者の電気香炉で熱を加える場合は、ツマミをひねって調節するだけなので初心者でも簡単に扱うことができます。
詳細は後述の必要なものの項目でご紹介しています。
直接火をつける場合とは違い、ほとんど煙は上がらず、部屋にヤニがつきにくいです。※あくまでつきにくいだけで、まったく付着しないというわけではないので、ご注意ください。
また、与える熱の高さによって香りの広がり方も調節することができます。
煙は気にならないので手間やお金をあまりかけずに気軽に楽しみたいという方には、下記の直接火をつける種類のお香がおすすめです。
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間接的に熱を加える種類のお香
香木(こうぼく)
白檀・沈香・伽羅の香木そのものです。
基本的に販売段階で用途別に形状が加工されています。
木(ぼく) | 特に加工をしていない木の形状のもの。購入したのちに自分で好きな形状に加工します。 |
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角割(かくわり) | 仏事や茶会・空薫に使用します。形が一定にそろったもの。 |
割(わり) | 仏事や茶会・空薫に使用します。形が不揃いなもの。 |
刻(きざみ) | お焼香や空薫に使用します。 |
爪(つめ)・笹(ささ) | 好みの大きさに割ることができる細長い木片。空薫に使用します。 |
下に行くほど細かくなっていますが、趣味で空薫をするだけであれば割以下のもので十分です。
割を使用する場合でも、折って欠片にしてから使うことが多いので、安価に手に入るのであればそれ以下のもので問題ありません。
純粋な香木なので、価格が高めではありますが、香木そのものの香りをじっくり楽しむことができます。
白檀・沈香については比較的入手がしやすいですが、伽羅は希少価値が高くなっています。それにも関わらず安価なものは質が悪い可能性が高いので注意が必要です。
長期間保存していると香りが弱くなったりするので、暗所で保存するほか、まとめ買いにも注意が必要です。
練香(ねりこう)
様々な香料の粉末を配合して蜂蜜や梅肉を加えて練り固めた丸薬状のお香です。
その製法は奈良時代より伝わったとされています。
蜂蜜や梅肉が加えられているので、ほかのお香と比べて少し独特の香りがします。
印香(いんこう)
様々な香料の粉末を配合して押し固めて、乾燥させたお香です。
練香と違い、形に決まりはないので様々なものがあります。
多くは紅葉や扇など和を感じさせる形になっていますが、最近ではプリントが施されたものなど一風変わったデザインのものも出てきています。
必要なもの
灰を通して熱を与える場合
香炉
1,000~5,000円ほどを見積もれば十分です。
ものすごい種類のデザインがあるので是非お気に入りを見つけてください。
注意すべき点は灰を入れるタイプの香炉であること。直接火をつける種類のお香専用やお茶専用・竹専用の香炉の場合があるので、見た目だけではなく造りを一度確認してくださいね。
炭
1回焚くごとに1つ、お香用の小さな炭が必要です。
50個くらいのセットになっており、1000~2000円ほどで購入できます。
メーカーによっては150個で1000円くらいのお安いものもあるようです。
ライターもしくはマッチ
炭に火をつける際に使います。
いわずもがなですが、100円で買えます。
灰
必要量は香炉のサイズにもよりますが、100g~300gくらいが500~1000円ほどで購入できます。
こちらは毎回変える必要はありません。
ただし、お香を焚くと灰自体にも香りがうつるので、違うお香を焚くと本来のお香の香りだけではなく、その灰で前に焚いたお香の香りも乗ってしまうことがあります。
自分がどこまで気にするかなので一概には言えませんが、ときおりチェックして香りが気になった場合は新しいものに交換しましょう。
電気で熱を加える場合
電気香炉
これ一つでOKです。(便利!)
しっかり香りを広がらせたいときは高温に、ほんのり上品に香らせたいときは低温にという調節がツマミを回して簡単に調節ができます。
また、お皿の上に香木等を置くので、お手入れもお皿だけでよくなり、とても楽チンです。
その分デメリットがいくつかあります。
一つめに、延長コードを用意するかコンセントの差込口があるそばでしか使用できないこと。コンセントを使うので、自分の好きな場所に置きにくかったり、ひっかける危険があったり、外観的に美しくない等のデメリットが発生します。
二つめに、安定して使えるものを取り扱っているのが1社しかないこと。お香に適した電気香炉を提供している企業はお香の専門店に数社ありますが、その中でも空薫向けの電気香炉を扱っているのは松栄堂(しょうえいどう)さんのみです。もし電気香炉を購入したいとなった場合は十中八九、松栄堂さんの電気香炉を購入することになります。
三つ目に、好みを追求できないこと。前述したようにかならずコンセントがセットになっており、取り扱っている企業も1社しかないので、色々なデザインから選択ということができません。
さいごに、少し高価なこと。おひとつ27,000円と少しお高めです…。
まとめ
本格的なお香ということでお手軽版より予算はぐっとあがりますが、より深いお香の世界に浸ることができます。
一般的な使い方としてはお部屋全体に香りを広がらせてリラックスすることですが、着物に限らず、お洋服など身につけるものに焚きしめて、お出かけの時にも香りを身にまとう、なんていう楽しみ方もできます。
手間をかけてでも王道のお香を楽しみたい方には灰を通して熱を与える方法、多少初期費用がかかっても手間なく楽しみたい方もしくはずぼらな方には電気で熱を加える方法がおすすめです。